大人の発達障害で友達がいない人へ

この記事の内容

ASDやADHDの人たちは、その特性から適切な人間関係を構築することが難しい傾向にあります。

そのため、友人をつくることが難しく、友達が一人もいないということも珍しくありません。

ただし、友達が一人もいないからといって、それが悪いというわけでは決してありません

友人関係が上手くいかないことに悩む人もいるかもしれませんが、苦手の克服を目指すより、得意なことや好きなことに重点を置いて生活いく方が、よほど有意義な人生になります。

ましてや、大人になった後であれば、なおさらです。

無理せず、自分らしくやっていきましょう。

結局のところ、友達がいないということは、その状況が自分に合っている証拠なのです

発達障害の苦悩

最も多い苦悩は、周囲と違う自分の存在の感覚、就職難をふくむ生活の困難、対人関係の挫折などに関連する、切実な不安・絶望感である。自分が皆と違う人間で、皆に避けられ、家族に迷惑をかけ、将来の見通しが立たない悩みを語るうちに、しばしば真剣な希死念慮が訴えられる。

山下格・大森哲郎(補訂)(2022).精神医学ハンドブック[第8版] 日本評論社 p.234.

友達がいない

大人の発達障害の人たちは、その特性から対人関係を苦手とする傾向があります。

したがって、自ずと交友関係も狭まりますので、友人と呼べるような人が一人もいないということも珍しくないでしょう。

かく言う私も、友人と呼べるような人は一人もいません。

友達とトラブルになる理由

そもそも友人が一人もいないという人もいれば、もともといた友人を失ってしまったという人もいるかもしれません。

ここでは、大人の発達障害の人たちになぜ友人がいないのか、あるいは、なぜ友人を失ってしまうのか、その理由(特性)について見ていきます。

ASDの場合

こだわりが強いから

自分の興味のあること以外に関心がないから

話の全体像より細部にこだわるから

マイペースで、他人の言動に興味がないから

社交マナーがわからないから

暗黙の了解がわからないから

空気が読めないから

集団への帰属意識が薄いから

人の表情を読むことが苦手だから

冗談や皮肉を理解できないから

口調や態度から相手の気持ちを読み取ることが苦手だから

ADHDの場合

思いつきで行動するから

約束を守れないから

気配りができないから

人の話に割り込むから

しゃべりすぎるから

的外れなことを言ったりしたりするから

秘密を簡単にばらしてしまうから

友達がいないことは悪いことではない

人それぞれですが、誰かと一緒にいるよりも一人でいる方が気楽で落ち着くという人もいるでしょう。

私もその一人です。

特に、大人の発達障害の人は、そのような傾向があるかもしれません。

それは悪いことでしょうか?

当然といえば当然ですが、一人が好きで友人がいないからといって、それが悪いというわけではありません。

世間には、交友関係が広い方が立派であるような雰囲気がありますが、そんなものはただの雰囲気であり、気にする必要はありません。

どうしても気になってしまう人は、交友関係が広いことがなぜ立派であるのかについて、突き詰めて考えてみてください。

明確な答えにたどり着かないことに気がつくことでしょう。

友達はいなくて当たり前

大人の発達障害、特にASDの人たちは、「社会性」や「コミュニケーション能力」に障害があります。

ですので、極端な言い方ですが、友人などいなくて当たり前、むしろいる方がおかしいのです。

足に障害がある人が一般的に速く走れないのと同じで、生まれつき社会性やコミュニケーション能力に障害がある人は、友人などいなくて当たり前なのです。

ただ、厄介なのは、誰が見てもわかりやすい身体的な障害と比べて、大人の発達障害(脳機能の障害)は見た目ではわからないことです。

そして、ともすれば、「頑張ればなんとかなる」、「努力が足りない」などといった精神論に行き着いてしまいがちです。

そのような無理解な精神論にさらされ続けると、自尊心がどんどん傷つけられていきます。

自尊心が低下し、「自分は何をやってもダメだ」「自分は出来損ないのダメ人間だ」という考えにとらわれると、メンタル不調、二次障害としての精神疾患を患うことになります。

私もかつてはそんな感じでした。

難しいかもしれませんが、なるべく気にしないようにしましょう。

おわりに

私が22~23歳の頃(2002年~2003年頃)、『友達がいない我々の研究会』というWebサイト(インターネット掲示板)がありました。

私は、高校進学後に友達のつくり方がわからなくなり、この時期も友達がいませんでしたので、当時はこの掲示板をよく覗いていました。

特に大学時代など、友達がいないことを気に病んでいた時期もありました。

しかし、今にして思えば、特に悩む必要もありませんでした。

結局のところ、友達がいないということは、その状況が自分に合っている証拠なのです

当時は一人で過ごすことに慣れてなく、強烈な孤独感に苦しめられていましたが、それも慣れです。

慣れてくれば、一人ほど快適なものはないと思えるようになります。

そのように思えることも才能ですが、友達がいないということは、イコールそのような才能があるということなのです。

繰り返しになりますが、友達がいないことは、悪いことではありません

あまり気にせず、得意なことや好きなことに目を向けて、気楽にやっていきましょう。