発達障害の3分類と大人の発達障害

この記事の内容

発達障害は、先天性の脳機能障害です。

ここでは、その3つの分類について簡単に記載しています。

分類は、次のとおりです。なお、実際には、3つの特性が重なり合っていることが多いといえます。

  • ASD(自閉症スペクトラム障害)
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • LD(学習障害)

また、大人になって以降、これらの特性によって社会との接点に摩擦が生じてしまうこと、それが大人の発達障害です。

社会との摩擦によりメンタル不調の状態になっていれば、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。

その受診が、障害者手帳・障害者雇用・障害年金などの社会保障につながっていきます。

ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性

社会的動物だけど…

人間は社会的動物と言われますが、この「社会的」という部分に密接に関係する障害が、ASDであろうと思います。

好むと好まざるとにかかわらず、人間は人間社会で生きていかざるを得ません。

したがって、この「人間社会で生きること」に障害があるASDの生きづらさは、相当なものであろうと思われます。

社会的相互関係(対人関係)とコミュニケーションの障害

これには、たとえば次のようなものがあります。

  • 他人と目を合わせない
  • 相手に合わせた行動、状況に合わせた行動が苦手(臨機応変が苦手)
  • 自己主張が強く、一方的な行動が目立つ
  • 相手の表情から気持ちを読み取れない
  • たとえ話を理解することが苦手

興味・活動の限定(限局的で柔軟性に欠ける行動、興味、活動のパターン)

興味・活動の限定には、たとえば次のようなものがあります。

  • 言われたことを表面的に受け取りやすい
  • 自分だけのルールにこだわる
  • 決まった順序や道順にこだわる
  • 急に予定が変わるとパニックを起こす

ADHD(注意欠如多動性障害)の3つの特性

ADHDには、「不注意」、「多動性」、「衝動性」といった3つの基本特性があります。

例としては、それぞれ次のようなものです。

不注意

  • 集中力がない
  • 物の紛失が多い
  • 忘れ物が多い
  • 細かな確認が苦手
  • 一つのことに注意をとどめておくことが苦手

多動性

  • じっとしていられない
  • 手や足をいつもいじっている

衝動性

  • 順番を待てない
  • 列に割り込む
  • 自分勝手に話し出す
  • 他人に干渉する

LD(学習障害)の6つの障害

LDは、知能全般は正常であるものの、「読む」「聞く」「話す」「書く」「計算する」「推論する」のいずれか一つ以上に機能障害がある状態です。

苦手なことやできないことの例は、それぞれ次のようなものです。

読む

  • 発音できない文字がある(小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」など)
  • 間違った発音をする
  • 単語の読み間違いをする(「つくえ」を「つえく」と読み間違う)
  • 文字や単語を抜かして読む
  • 読むのが遅い
  • 音読はできるが意味が理解できない

聞く

  • 会話が理解できない
  • 聞きながらメモを取れない
  • 聞き間違いが多い
  • 長い話を理解できない
  • 長い話に集中できない
  • 復唱ができない

話す

  • 順序だてて話すのが苦手
  • 同じ内容を違う言い回しで話せない
  • 話が回りくどい

書く

  • 文字が書けない
  • 文字を書き間違う
  • 単純な文章しか書けない
  • 文法的誤りが多い

計算する

  • 数字の位取り(たとえば「123」の「3」が一の位で「2」が十の位など)が理解できない
  • 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
  • 九九を暗記しても計算で使えない
  • 暗算ができない

推論する

  • 算数の応用問題、証明問題、図形問題が苦手
  • 因果関係の理解や説明が苦手
  • 長文読解が苦手
  • 推測が苦手

大人の発達障害とは

大人になってから発達障害になるわけではない

発達障害は先天性の脳機能障害であり、「親の育て方が悪いから」というものではありません。

また、基本的には、発達障害の特性は、大人になっても変わるものではありません

そのため、子供の頃は親や学校のサポートによってどうにか過ごせていたものの、社会人になって人間関係の壁にぶち当たり、抑うつ、不眠、摂食障害、ひきこもり等の二次障害が生じてしまう人も少なくありません。

その際に精神科を受診し、発達障害と診断され、初めて自分の「生きづらさ」の理由がわかったという人も少なくないでしょう。

これが、いわゆる大人の発達障害です。

それは、大人になって発達障害になったわけではなく、生まれつきの脳機能障害(発達障害)による特性によって、社会との接点に摩擦を生じてしまうことなのです。

※ADHDの場合、大人になると多動性が目立たなくなり、不注意が目立つようになる傾向があるようです。

早めの受診をオススメします

理由もよくわからずにメンタル不調が長く続き、生きづらい思いをしているようであれば、早めに医療機関を受診してみることをおすすめします。

その際、発達障害と診断されるかもしれませんし、あるいは、別の精神疾患と診断されるかもしれません。

いずれにせよ、医療機関の受診が、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)の取得、障害者雇用、障害年金などにつながっていきます

発達障害と診断されることによって医療や福祉とつながることができればまだいいのですが、わけがわからないまま周囲から「自分勝手」、「わがまま」、「甘えている」、「未熟なだけ」などとみなされてしまうことは、とても不幸なことだと思います。

大人の発達障害かもしれないと思えば、精神科に行きましょう!

参考図書

『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編 18歳以上の心と問題行動をサポートする本』宮尾益知/監修 河出書房新社

『精神医学ハンドブック 医学・保健・福祉の基礎知識 第8版』山下格/著 大森哲郎/補訂 日本評論社

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この記事を書いた人

群馬県前橋市の精神保健福祉士・社労士 鈴木雅人
精神保健福祉士・社会保険労務士
鈴木雅人
氏名鈴木 雅人(すずき まさと)
生年月日1980年(昭和55年)4月1日
国家資格社会保険労務士 第10230004号
精神保健福祉士 第26879号
加入団体群馬県社会保険労務士会
群馬県精神保健福祉士会
群馬県精神保健福祉協会
家族妻と長男
出身地 群馬県前橋市
学歴東海大学体育学部中退
文教大学人間科学部卒業
座右の銘人間万事塞翁が馬

事務所概要

事務所名若宮社会保険労務士事務所
代表者鈴木雅人
所在地群馬県前橋市日吉町4-14-7
電話番号080-7712-2518
メールinfo@wakamiya-sr.com
定休日不定休