ASDの人は冗談やお世辞が苦手

この記事の内容

ASDの人は、相手の言葉を真に受ける傾向があり、冗談やお世辞が苦手です。

また、会話の際に適切な距離を取ることや、目を見て話すことも苦手とします。

このような「ASDの人が苦手なこと」についての、簡単な説明です。

発達障害の苦悩

最も多い苦悩は、周囲と違う自分の存在の感覚、就職難をふくむ生活の困難、対人関係の挫折などに関連する、切実な不安・絶望感である。自分が皆と違う人間で、皆に避けられ、家族に迷惑をかけ、将来の見通しが立たない悩みを語るうちに、しばしば真剣な希死念慮が訴えられる。

山下格・大森哲郎(補訂)(2022).精神医学ハンドブック[第8版] 日本評論社 p.234.

冗談やお世辞が通じない

※以下、あくまで「たとえば」の話です。

たとえば、ASDの会社員男性が日曜日に散髪し、月曜日の出社後、髪を切ったことに気づいた同僚女性から「かっこいいね」と言われたとします。

この場合、言った方の女性は、本気でかっこいいと思っているわけではありません。

ただ髪を切ったことに気が付いたから、何か一言くらい言った方がいいだろうと思って、とりあえず「かっこいいね」と言っただけです。

あるいは、ちょっとからかうつもりで「かっこいいね」と言ったのかもしれません。

しかし、ASDの会社員男性は、これをお世辞や冗談とは受け取りません。

「かっこいいね」と言われたことにより、同僚女性が自分に好意や憧れを抱いていると考えます。

そして、それを前提とした行動を取り、結果的には同僚女性から嫌われてしまうことになります。

適切な距離感がわからない

物理的距離が近い

私たちは、多くの場合、心理的距離が近い人と話すときには、物理的距離も近くなります。

家族や恋人と話す場合を考えてみれば、わかりやすいかと思います。

一方、職場の人と会話をするときは、無意識にある程度の距離を取っています。

通常、それほど親しくない人に対し、いきなり家族のような距離で話しかけるようなことはしません。

ところが、ASDの人は、この距離が近くなる傾向があります。

本来は適切な距離を取るべき場面でも、不自然に接近してしまいます。

目を見て話すのが苦手

また、ASDの人は、相手の目を見て話すことを苦手とします。

相手が「目を合わせるのが苦手なんだな」と察してくれればいいのですが、「あいつは目も合わせない」と思われてしまうと、人間関係にヒビが入ります。

そして、それとは反対に、相手の顔をなめるように見てしまう場合もあります。

相手の表情を一生懸命に読み取ろうという思いがあるのかもしれませんが、場合によっては「気持ち悪い」と思われてしまうこともあります。

まとめ

冗談が通じない

相手の冗談を理解できないときがあります。

そのため、相手の意図を誤解したり、会話が噛み合わないことがあります。

お世辞が理解できない

異性から言われたお世辞をそのままの意味で受け取ってしまうことがあります。

そのため、つきまとって気持ち悪いと思われてしまいます。

相手の言葉を真に受ける

相手の言葉を真に受け、素直に信じてしまうことがあります。

そのため、相手に悪意があると、簡単に騙されてしまうことがあります。

参考図書

『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編 18歳以上の心と問題行動をサポートする本』宮尾益知/監修 河出書房新社

『精神医学ハンドブック 医学・保健・福祉の基礎知識 第8版』山下格/著 大森哲郎/補訂 日本評論社

参考リンク

この記事を書いた人

群馬県前橋市の精神保健福祉士・社労士 鈴木雅人
精神保健福祉士・社会保険労務士
鈴木雅人
氏名鈴木 雅人(すずき まさと)
生年月日1980年(昭和55年)4月1日
国家資格社会保険労務士 第10230004号
精神保健福祉士 第26879号
加入団体群馬県社会保険労務士会
群馬県精神保健福祉士会
群馬県精神保健福祉協会
家族妻と長男
出身地 群馬県前橋市
学歴東海大学体育学部中退
文教大学人間科学部卒業
座右の銘人間万事塞翁が馬

事務所概要

事務所名若宮社会保険労務士事務所
代表者鈴木雅人
所在地群馬県前橋市日吉町4-14-7
電話番号080-7712-2518
メールinfo@wakamiya-sr.com
定休日不定休