女性の発達障害は気づかれにくいことがある

この記事の内容

男性と比べ、女性の方が発達障害だと気づかれないまま大人になることが多いようです。

この記事では、その理由について、ASDの場合とADHDの場合に分け、簡単に説明しています。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合

ASDの3タイプ

ASDには、大きく分けて次の3つのタイプがあります。

  • 積極奇異型
  • 受身型
  • 孤立型

まずは、これについてざっくりと説明します。

積極奇異型

いわゆる人なつこいタイプです。

幼少期から知らない人にも平気で話しかけ、見知らぬ大人にも馴れ馴れしく接します。

「人との接し方に積極性があるものの、その積極性に、どこか奇妙な感じがある」といったところでしょうか。

受身型

自分からは積極的に人と関わろうとしないものの、誘われれば断らずに応じるというタイプです。

「人との関わりが苦痛というわけではないけれど、自ら積極的に関わろうとは思わない」という感じでしょうか。

孤立型

他人との関わりに苦痛を感じるタイプです。

「人との関わりは苦痛だし、できるだけ関わりたくない。できればずっと一人で過ごしていたい」という感じだと思います。

上記の3タイプを踏まえたうえで、女性の発達障害(ASD)が気づかれにくい理由は、概ね次のようなもののようです。

女の子の方が変化が早い

一般的には、幼少期には「積極奇異型」が多く、成長するにつれて「受動型」や「孤立型」へと変化することが多いようです。

ただ、女性の場合、男性よりもその変化が早く、小学校中学年頃から「受動型」や「孤立型」へと変わっていくようです。

女の子は、大人しい良い子に見える

「受動型」や「孤立型」の小学生を想像してみると、それは親や先生にとって「手のかからない大人しい子」、つまり「良い子」です。

そのため、たとえ本人が学校生活を含む日常生活に違和感をもっていたとしても、なかなか気づかれにくいということになります。

実際には必死の努力をしている

また、知的発達に遅れがない自閉症スペクトラム障害(ASD)の女性の場合、本人の必死の努力によってコミュニケーションの苦手さをカバーしていることがあるようです。

周りに合わせようという本人の涙ぐましい努力により、親や先生からは発達障害と気づかれないのです。

男の子は気づかれやすい

なお、男性の場合は、「積極奇異型」の期間が女性よりも長く続く傾向があるということになります。

これは、読んで字のごとく「奇異」な感じがするような積極性ですので、自ずと周囲の大人が気づきやすいということになるかと思います。

ADHDの場合

男の子は特性が幅広く見られる

ADHDの男の子は、「落ち着きが全然ない」、「いつも忘れ物をする」、「他の子にやたらとちょっかいを出す」、「しばしば感情的・攻撃的」、「気に入らないと誰とでもケンカをする」、「ぶつかったり転んだりで生傷が絶えない」等の特性が幅広く見られる傾向があるようです。

そのため、親や先生から「ADHDではないか?」と気づかれやすくなります。

女の子は特性が目立ちにくい

女の子の場合も、「忘れ物が非常に多い」、「おしゃべり」という部分的な特性が見られることはあるようです。

ただ、男の子と違いその他の特性があまり目立たないことが多いようです。

つまり、特性の現れ方が限定的であるため、親や先生から気づかれずに成長していくということになります。

大人の発達障害かもしれないあなたへ

大人になるにつれどんどん生きづらくなる

子どもの頃は発達障害だと気づかれずに過ごし、そのまま大人になった場合、多くの人は様々な壁にぶち当たります。

それは、社会性の壁かもしれませんし、対人コミュニケーションの壁かもしれませんし、家事や育児などの日常生活の壁かもしれません。

そして、なんとなく自分だけが他の人たちと違うような違和感や、生きづらさを感じるようになります。

さらに、そのような違和感や生きづらさに悩むようになると、そのストレスが心身の不調という形で顕在化してきます(二次障害)。

この時点で医療機関を受診して、初めて発達障害だったとわかるのが「大人の発達障害」です。

大人になってから発達障害とわかるのも無理からぬこと

30歳を過ぎてから発達障害と診断され、初めて自分の「生きづらさ」の理由がわかったという人も少なくないと思います。

発達障害者支援法の施行が平成17年(2005年)であることからもわかるように、一昔前は「発達障害」という概念が今ほど世間一般に浸透していませんでした。

よって、発達障害に気づくのが大人になってからというのも無理からぬことと思います。

もし、まだ診断を受けておらず、周囲と何かが違うという違和感や生きづらさがある場合、一人で悩まずに医療機関や相談支援機関に行ってみることをおすすめします。

今の今まで様々なストレスと闘いながら不断の努力によって生き抜いてきたあなたは、とても立派です。

参考図書

『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編 18歳以上の心と問題行動をサポートする本』宮尾益知/監修 河出書房新社

『精神医学ハンドブック 医学・保健・福祉の基礎知識 第8版』山下格/著 大森哲郎/補訂 日本評論社

参考リンク

この記事を書いた人

群馬県前橋市の精神保健福祉士・社労士 鈴木雅人
精神保健福祉士・社会保険労務士
鈴木雅人
氏名鈴木 雅人(すずき まさと)
生年月日1980年(昭和55年)4月1日
国家資格社会保険労務士 第10230004号
精神保健福祉士 第26879号
加入団体群馬県社会保険労務士会
群馬県精神保健福祉士会
群馬県精神保健福祉協会
家族妻と長男
出身地 群馬県前橋市
学歴東海大学体育学部中退
文教大学人間科学部卒業
座右の銘人間万事塞翁が馬

事務所概要

事務所名若宮社会保険労務士事務所
代表者鈴木雅人
所在地群馬県前橋市日吉町4-14-7
電話番号080-7712-2518
メールinfo@wakamiya-sr.com
定休日不定休