その考え方、「認知の歪み」かもしれません
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気分が落ち込んでいるとき、心が疲れているとき、私たちの物事の捉え方や考え方は、簡単に歪んでしまいます。
そして、多くの場合、自分だけではその歪みに気がつきません。気がつかないまま、マイナスな方へマイナスな方へと歪んでいき、どんどん気分が落ち込んでいきます。
その歪みに気づくには、やはり、誰かに話すことが近道ではないでしょうか。
誰かに話してみて、一度手放してみて、歪みに気づくことができるのだと思います。
ここでは、そのような物事の捉え方や考え方の歪み、つまり「認知の歪み」の7つのパターンについてご紹介します。
①恣意的推論
恣意的推論とは、簡単に言えば「思い込み」です。事実は必ずしもそうではないにもかかわらず、マイナスな方向に考え、思い込んでしまいます。
そして、その思い込みによって身動きが取れなくなってしまったり、あるいは、思い込みに基づいて結論を出してしまいます。
たとえば、友達や恋人から頻繁に来ていた連絡が少し途絶えたとき、実際には連絡する用事がないから連絡しなかっただけなのに、「自分は嫌われた…嫌われたから連絡が来ないんだ…」と悪い方へ悪い方へと考えてしまうような場合です。
②二分割的思考
二分割的思考とは、簡単に言えば、物事を白か黒かはっきりさせないと気が済まないというような考え方です。白でなければ黒、黒でなければ白というように考えます。
世の中は、白でもなく黒でもないグレーな部分が多くを占めています。しかし、そのグレーの部分を認めることができず、白と黒でしか物事を捉えられなくなってしまいます。
実際には、「正しくはないけど、間違いでもないこと」だらけですし、「成功ではないけど、失敗でもないこと」だらけ、「味方ではないけど、敵でもない人」だらけなのです。
③選択的抽出
選択的抽出とは、物事の一部分のみにフォーカスしてしまい、全体を見ることができなくなってしまうというものです。
たとえば、勤務先で上司から仕事上の注意を受けたとします。上司は何気なく注意をしただけなのですが、「注意をされた」という一部分のみに気が向いてしまい、「あの人は厳しい」「あの人は苦手だ」というように考えてしまいます。
④拡大視・縮小視
拡大視・縮小視とは、物事を必要以上に過大評価・過小評価してしまうことです。
たとえば、自分の短所や過去の失敗などを過大評価してしまい、長所や成功などを過小評価してしまうような場合です。
このような傾向があると、当然に自己評価はどんどん低くなっていきます。
⑤極端な一般化
極端な一般化とは、たとえば、何か一つ上手くいかなかったことがあったとき、「自分は何をやってもダメだ」と考えてしまうようなことです。
よくよく考えれば他のことはそれなりに上手くいっているのに、たまたま上手くいかなかったことで「何をやっても…」と考えてしまうというわけです。
実際、だいたいのことは上手くいっているのです。上手くいっているからこそ、今日も生きていられるのです。
⑥自己関連づけ
自己関連づけとは、ある出来事を自分の責任だと考えてしまうようなことです。
たとえば、勤務先で所属部署が期待されていたような成果を出せなかったとき、それを自分の責任だと考えてしまうようなケースです。
あるいは、家族や友人と話をしていて、相手の機嫌が悪いとき、実際には自分とはまったく関係ないことで機嫌が悪いにもかかわらず、機嫌が悪いのは自分のせいだと考えてしまうようなケースです。
⑦情緒的な理由づけ
情緒的な理由づけとは、たとえば、就職や転職などで環境に変化があったとき、最初は誰でも不安を感じるものですが、「慣れていないから不安なんだ」とは考えず、「不安だからこの職場・仕事は自分に合っていないんだ」というように考えてしまうケースです。
「不安」という情緒的なものに引っぱられて、自分の状況を客観的に見ることができなくなってしまうのです。